緊張型頭痛

この記事は約4分で読めます。

頭痛には種類がいろいろあり、一番患者さんが多いのは緊張型頭痛です。

名前をそのまま受け取って「筋肉が緊張しているから緊張型頭痛ですね」とは言い切ることはできせん。では緊張型頭痛とはどんなものなのでしょうか?

今回も目次と赤字だけ読まれると大体理解できるように書きましたので、お忙しい方はご安心くださいませ。

緊張型頭痛の鍼灸については次回投稿いたします。

緊張型頭痛は最も多いタイプの頭痛

緊張型頭痛は、最も有病率が高い頭痛です。日本における年間有病率は22.4%とされ、非常に頻度の高い疾患ですが、なぜ緊張型頭痛になるのか?についてはまだ不明な点が多く、研究が十分に進んでいません。

緊張型頭痛は発生頻度で3つに分類できます

緊張型頭痛は頭痛の発生頻度により3つに分類できます

  1. 稀発反復性緊張型頭痛=平均して月1日未満の頻度で緊張型頭痛が起きる。吐き気・嘔吐を伴わず、光過敏または音過敏のどちらかがある。
  2. 頻発反復性緊張型頭痛=月1~14日の頻度で緊張型頭痛が起きる。吐き気・嘔吐を伴わず、光過敏または音過敏のどちらかがある。
  3. 慢性緊張型頭痛=3か月を超えて平均月15日以上の頻度で緊張型頭痛が起きる。軽度の吐き気・光過敏・音過敏がある。

片頭痛との違いは「締め付けられるような痛み」

緊張型頭痛は以下のような特徴があります。偏頭痛とは明らかに違う種類の痛みです。

  • 左右どちらも痛い
  • ズキズキするような痛みではなく圧迫される・締めつけられるような痛み
  • 歩行や階段昇降など身体活動で頭痛が強くなることはありません

緊張型頭痛を誘発・増悪させる原因は未だハッキリしません

2021年最新版の頭痛の診療ガイドラインでは「確定した危険因子や誘因はない」としています。

生活習慣・心理社会的要因などとの関連を示す研究はありますが、特定の原因を緊張型頭痛の確立した原因として扱うことはできません。

稀発反復性&頻発反復性の緊張型頭痛の予後は大半が良好ですが、一部は慢性化し日常生活に大きな支障をきたします。仕事を辞めざるをえなかったたり、育児が困難になったりなどです。なので周りの方は「頭痛くらいで何だ!」等と責めないようにしてください。

痛みが出現する仕組みは2パターン

末梢性感作[まっしょうせいかんさ]=稀発&頻発反復性の緊張型頭痛の原因になりやすい

筋肉・筋膜側にある痛みセンサーの感度が上がっている状態=末梢性感作が起きている状態

です。

首や肩などの筋肉に、長時間同じ姿勢をとることなどによる負担が繰り返し加わると、筋肉やその周囲から痛みの信号が出続けることがあります。

その状態が続くと、筋肉の中や周囲にある痛みを感じ取る神経が、だんだん敏感になることがあります。

すると、以前なら痛いと感じなかった程度の刺激でも

  • 強く押されているわけでも無いのに頭を押されると痛い
  • 肩や首を触ると頭まで響く

といったことが起こりやすくなります。これを圧痛[あっつう]と呼びます。
このように、筋肉やその周囲にある痛みを感じる神経が敏感になった状態を末梢性感作といいます。

イメージとしては、普段は「小さな刺激なら気にならない」という設定になっている痛みのセンサーが、何度も刺激を受けることで、痛みを感じやすい設定に変わってしまう…という感じです。

中枢性感作[ちゅうすうせいかんさ]=慢性の緊張型頭痛の原因になりやすい

緊張型頭痛が慢性化すると、筋肉だけではなく、痛みを処理する脳や脊髄などの働きにも変化が生じ「痛みを処理する仕組み」が敏感になることがあります。これが中枢性感作です。ここまでくると、痛みに敏感になります。

たとえば、以前は気にならなかった首や肩への軽い刺激が痛く感じられることがあります。

「首肩がこりすぎて痛い!触られたくない!」という具合で過敏になった状態になったら「中枢性感作が起きているんだ」とみなしてください。

筋肉の緊張そのものが頭痛の原因である、と単純に結論づけることはできません

頭・首・肩で圧痛を感じる場所の多さ、圧痛の程度は緊張型頭痛の頻度や強さと関連します。筋肉の硬さの上昇は緊張型頭痛の痛みの程度にも関連しています。

ただし「筋肉の緊張そのものが頭痛の原因である」と単純に結論づけることはできません。

特に慢性緊張型頭痛では、

  • 僧帽筋[そうぼうきん](襟足〜肩〜背中に広がる菱形の筋肉)の乳酸濃度が健康な人と変わらない
  • 圧痛部分に炎症が起きているわけではない

などの理由から、筋・筋膜だけでは緊張型頭痛について説明できません。今後さらなる研究が必要です。

緊張型頭痛は処方薬だけではなく色々組み合わせる事を推奨されています

頻発反復性または慢性緊張型頭痛で、頭痛によって日常生活に支障がある場合などには、抗うつ薬のアミトリプチリンなどが処方されます。

他には筋弛緩剤、鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬)が出されることが多いです。処方薬を飲めばそれで治る、とはいえず、非薬物療法との併用を勧められます。

千葉大学医学部は漢方教育に昔から力を入れているため、千葉大卒の医師だと必要に応じて漢方薬を処方することもあります。

治療も局所の筋肉だけを対象とするのではなく、

  • 薬物療法
  • 運動・理学療法
  • 心理・行動的アプローチ

などを組み合わせて考える必要がある、と日本頭痛学会は公表しています。

参考文献

頭痛の診療ガイドライン2021年版(日本頭痛学会)

タイトルとURLをコピーしました