卵巣のアンチエイジング

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妊活に必要な卵巣のアンチエイジングについての記事となります。妊娠予定のない女性、既婚・婚活中の男性にもお勧めです。

不妊治療の保険適用が始まりました

先月から人工授精等の「一般不妊治療」、体外受精・顕微授精等の「生殖補助医療」について、保険適用されることとなりました。

令和4年4月から、 不妊治療が保険適用されます。(厚労省PDFへリンク)

「一度は諦めたけど、またチャレンジしようかな」

「経済的な理由で不妊治療を諦めてきたけれど、保険適用ならやりたい」

という考えの方が非常に増えていると実感する日々です。いろはでも、クリニックでの不妊治療と妊活の鍼灸の併用で妊活をされている女性がぐっと増えました。

そんなわけで、卵巣のアンチエイジングについて質問される事が増えたので改めてまとめて書いてみます。

卵巣の老化とは?

卵巣が老化するということは

  1. 卵子の数が減る
  2. 卵子の質が低下する

という事です。

卵子の数はこのように減っていく

女性がまだお母さんのお腹の中にいて4〜5ヶ月の時(お母さんが妊娠4〜5ヶ月の時)、お腹にいる女の子の赤ちゃんは卵子の元となる卵母細胞を600〜700万個持っています。そのあと新たに作られる事はありません。

ということは、女性が卵子の元となる卵母細胞を1番多く持っている時期は「まだ生まれていない時」ということになります。

そして女の子の赤ちゃんがオギャーと生まれた時には、既に卵母細胞の数は減って100〜200万個になっているとされてます 。

そして赤ちゃんとして生まれて月日が経ち、思春期になり初潮を迎えます。毎月1回の排卵には約1000個の卵子が消費され、卵子の中で1番タイミングのいい卵子1個が排卵されます。10代で30万個、20代で10万個、30代で2~3万個、それ以降も閉経するまで加齢にともなって減少します。

卵子の数は遺伝によって決まっており、増えません。元々備わっている卵子の数と閉経年齢は、母娘・姉妹・一卵性双生児といった関係の間で似ます。これはゲノム解析によりわかっているそうです。

卵子の質の低下=卵子の染色体不分離

体の細胞は46本の染色体を持っていますが、卵子や精子の染色体は各々23本であり、受精して受精卵になると染色体は46本になります。卵母細胞が排卵する卵子になるまで、2回の分裂(第1・第2減数分裂)を経て23本の染色体になります。

卵母細胞は排卵周期が開始するまでの間、第1減数分裂の途中で停止しています。女性の年齢の上昇に伴い、卵巣内で卵子が老化すると、卵子の第1減数分裂の異常である染色体不分離という現象が認められるようになり、染色体異常が増加すると考えられています。

染色体不分離によって卵子の質が低下すると、妊孕生[にんようせい]が低下します。

妊孕生[にんようせい]とは?

妊娠するために必要な能力のことです。また、妊娠するために必要な臓器・機能と言い換えることができます。妊娠するために必要な臓器として、女性では子宮や卵巣、男性では精巣が挙げられます。

卵巣のアンチエイジングの実践

無理なダイエットはNG

若い女によくある過度なダイエットは、急激に卵子の数を減らしていきます。

体脂肪率が低すぎる、ビタミンDが不足している女性は、若い頃から卵子の数が早いスピードで減少する傾向があるとのことです。20代の女性でも、40代と同等まで減少している場合もあります。

卵子の数は増やせません、必ず減っていきます。しかも過度な痩せ志向がある若い女性は急激に卵子の数が急速に減っていきます。

最近はインスタグラム・TikTokによって見た目を気にしすぎて精神不安定になっている思春期・20代女性が増えています。SNSを見る時間を減らすのが精神安定かつアンチエイジングになるのでは?といろは髙橋は思っています。。。。

何はともあれ禁煙

喫煙により卵巣に次の2つが起こります。

  1. 卵巣が血行不良になる
  2. 酸化ストレスによって卵巣の中にある卵胞(排卵前の卵子と、その周りにある細胞のセット)を減らす

以上のことから、閉経を早めてしまうのが喫煙です。

妊娠予定がない女性も禁煙がお勧めな理由

閉経が早いということは、閉経後の人生が他の女性より長い、骨を強くするための期間が短いという事です。そのため骨粗鬆症[こつそしょうしょう]のリスクも高めてしまいます。

骨粗鬆症[こつそしょうしょう]とは?

骨強度(骨の強さ)が低下して、骨折しやすい状態になることです。骨強度は、

  1. 骨量の指標となる骨密度
  2. 骨の構造など骨質

の2つの要因によって決まります。

骨密度は成長期に増加し、20歳頃に最大に達します。その後比較的安定に推移した後、加齢に伴い減少します。特に女性においては、閉経に伴い骨密度が減少しやすくなります。

骨折をきっかけに寝たきり介護になる女性は多いです。将来出産予定がない女性でも、閉経を早めてしまわないよう禁煙がお勧めです。

肥満解消

肥満は排卵障害のリスクを高めます、とはいえ排卵に何の問題もない場合でも卵子の質は低下します

なぜ肥満すると卵子の質が低下するかというと

  1. 卵胞に蓄積した不要な代謝産物
  2. 慢性炎症
  3. 卵子におけるミトコンドリアの異常
  4. 小胞体[しょうほうたい]ストレス活性化…体外受精の成績が悪化します※難しいので理論は割愛します

が原因ではないかと現在研究が進められています。

なるべく避けたい! ビスフェノールA=内分泌撹乱[ないぶんぴつかくらん]物質

ビスフェノールAは、主にポリカーボネート、エポキシ樹脂と呼ばれるプラスチックの原料として使用される化学物質です。食器・缶詰に使われていますが、最近はガイドラインによって工夫がなされています。

ビスフェノールAは人体にとっては内分泌撹乱[ないぶんぴつかくらん]物質です。

内分泌撹乱[ないぶんぴつかくらん]物質とは?

ホルモンのふりをしたり、ホルモンの働きなどを邪魔したりすることによって、内分泌の働きを乱す物質のことです。

ビスフェノールAは女性の身体の中で内分泌撹乱[ないぶんぴつかくらん]物質として暗躍し、卵子の質を低下させることが動物実験でわかっています。妊活されている女性だけではなく、妊娠中の女性・乳幼児にも良くない物質、それがビスフェノールAです。

ビスフェノールAについて詳しく知りたい方はビスフェノールAについてのQ&A(厚労省サイトへリンク)をご覧ください。

AGEs[エイジスまたはエージーイー]が蓄積しない生活を送る

AGEs[エイジズまたはエージーイー]とは?

終末糖化産物[しゅうまつとうかさんぶつ]とも呼ばれています。体内に蓄積された過剰な糖分と蛋白質が結合してできます。活性酸素・酸化ストレスと同じく老化を促進する物質です。

AGEsは卵巣機能低下と関連があるのでは?と研究が進められています。

AGEsが多く含まれるお食事メニューリスト

  1. パンケーキ
  2. 人工甘味料(ブドウ糖果糖液糖・果糖ブドウ糖液)入りのジュース
  3. ケーキ
  4. 揚げ物
  5. 焼き餃子
  6. 直火焼きのお肉
  7. 焦げ目があるもの

等です。365日ダメというわけではなく、たまに召し上がるくらいの感覚がお勧めです。

AGEsが蓄積されてしまう生活習慣リスト

  1. タバコ
  2. 夜ふかし
  3. 運動をしない
  4. よく噛まない※一気に血糖値が上がるとAGEsが一気に増えます
  5. ストレス

AGEsに関して、今回は簡単なご説明ということでよろしくお願いいたします。

お肌の老化にも関連が深いAGEs。

AGEsついては、美容に気を使われる方にとっては物足りない情報となっております。ですが今回は「卵巣のアンチエイジング」がテーマのため、ダイジェスト版ということでご了承くださいませ。

まとめ:全身の状態を良くする事は卵巣のアンチエイジングになります

食事・運動・睡眠・体重のコントロールが必要、という至って当たり前な結論になりました。これが卵巣のアンチエイジングのために非常に価値があるんですね。

実践のためには同居ご家族のご協力もよろしくお願いいたします(^^)

参考文献

アンチエイジングの診療 23のエッセンス

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