くしゃみをしたら尿もれしてしまう…とお悩みの女性が多く通われる当院。
これは腹圧性尿失禁の症状です。
当事者の皆様はもちろん、ご家族に女性がいらっしゃる男性にも読んでいただきたい投稿になっております。
腹圧性尿失禁の症状
尿失禁にはさまざまな種類があります。そのうちの一つである腹圧性尿失禁の症状は以下の通りです。
- 咳、くしゃみをしたら漏れた
- 笑ったら漏れた
- 重いものを持ち上げたら漏れた
- 尿意がないのにチョイ漏れ
- 歩いただけで尿もれ※重症
女性の尿もれの約7割が腹圧性尿失禁と言われます。
なぜ腹圧性尿失禁は起きるの?
次のような流れで腹圧性尿失禁が起きます。
骨盤底筋が弱り、おまけに靱帯・結合組織がゆるむ
↓
膀胱や尿道をきちんと支えられなくなる
↓
尿道括約筋が傷んで尿道を閉じられなくなる
↓
お腹が力に入った時に尿失禁が起きる
こんな女性に起きやすい
- 出産直後
- 40歳代後半以降の女性
- 子宮摘出の手術を受けた
- 思い返せば妊娠中、妊娠直後にも尿もれがあった
- 経膣分娩の経験が2回以上ある
- 閉経した
- 最近太った
- 便秘がち
- 喘息など呼吸器疾患の持病がある
- 肉体労働をしている※介護、育児、実家の片付け、ワンオペ家事含む
治療法
- 骨盤底筋体操…まずはこちらがお勧めです。病院に行かずにご自宅でできるのもメリットです。
- 減量…肥満による腹圧性尿失禁には効果あり。体重に問題ない方がやっても効果はありません。
- 薬物療法…重症の女性、またはスポーツをされる女性には効果不十分です。
- 手術…重度の尿道括約筋不全でなければ効果あり。ごく稀に合併症(腸管損傷・大血管損傷など)が起きることがあります。局所麻酔で済みますが入院必須です。
逆に効果がないのは女性ホルモン療法です。更年期障害によりホルモン療法をされている女性は多いのですが、尿もれでお困りの女性はホルモン療法以外に上記のいずれかを実践する必要がございます。
まずはセルフケア!骨盤底筋体操がお勧めです
動画がわかりやすいのでYouTubeでご確認くださいませ。
電車通勤中、デスクワークの最中にもこっそりできるトレーニングもご紹介してくださっています。
3カ月を目安にきちんとおこなうと3人中2人には効果がみられますが、この運動は治っても続けていく必要があります。
ポイントは骨盤底筋の締め方を正しく習得し、根気よく続けることです。
お勧めアイテムは尿もれパッド
ドラッグストアでは生理用品の隣に尿もれパッドがたくさん陳列されています。沢山あるということは、それだけ売れているということです。
- 尿とりパッド
- 安心パッド
- さわやかパッド
などさまざまな名称で販売されています。ナプキンと同様、吸収できる量によってサイズが異なります。
パッケージが生理用のナプキンとそっくりなので、間違えないようによく確認されてからご購入くださいませ。
本当に腹圧性尿失禁?まずは泌尿器科で診察を
腹圧性尿失禁の他にもさまざまな種類の尿失禁があります。腹圧性尿失禁ではないタイプの尿失禁の場合、上記の体操の効果はございません。
まずは泌尿器科専門医による診察を受けるのがお勧めです。どんな検査があるのか、以下の日本泌尿器科学会のホームページをご覧くださいませ。