男性は亜鉛のサプリメントを飲んでいる方が多いと思いますが(男性ホルモン対策)、女性はあまり亜鉛に興味がない方がもしかして多いかもしれません。
しかし亜鉛が不足すると女性にとってどんなことが起きるのでしょうか?
※忙しい方は見出しと太文字だけでもご確認くださいませ。
肌荒れ・抜け毛
亜鉛が不足すると起きると以下のようなお肌・髪トラブルが起きます。
- 肌の細胞のターンオーバーが乱れたり、肌のバリア機能が低下したりして、肌荒れや湿疹などの皮膚トラブルを引き起こしやすくなります。
- 細胞の炎症を抑える役割を持つ酵素の働きが低下してしまいます。これにより外部からの刺激、例えば紫外線、摩擦(マッサージ、美顔器、下着、マスク、アクセサリー、髪、枕、頬杖、スクラブ、ゴマージュ等による摩擦)によって起こる肌の炎症が治りにくくなります。
- 休止期脱毛症という症状が起き、髪の毛が抜けます。これは、髪の毛の成長サイクルが乱れて、本来抜け落ちる時期ではないのに大量に髪が抜けてしまう状態です。
体内に存在する亜鉛のうち約8%が皮膚と髪の毛に存在しています。特に肌の表面には亜鉛が豊富にあり、細胞が健康に保たれる上で不可欠です。
貧血
亜鉛不足による貧血は、一般的な鉄欠乏性貧血とは異なり、鉄剤を摂取しても改善しにくいです。
また、亜鉛が不足すると赤血球の膜がもろくなり、運動などの物理的な刺激で赤血球が壊れやすくなる可能性があります。
スポーツ(特に中長距離走、剣道、バスケ、バレーボール等足裏に負担がかかる競技)を習慣にしている方、透析を受けている方等は特に注意が必要です。
味覚障害
舌には味を感じ取るための味蕾[みらい]という小さな器官があります。この味蕾の細胞には亜鉛が豊富に含まれており、特に味覚に関わる酵素の働きには亜鉛が必須です。
亜鉛が不足すると、これらの酵素の活性が低下するだけでなく、味蕾の細胞そのものが正常に働かなくなったり、新しい細胞に生まれ変わるサイクルが遅くなったりします。その結果、味覚が鈍くなったり、特定の味を感じにくくなったりしてしまいます。
成長ホルモンの分泌低下
亜鉛は、成長ホルモンやインスリン様成長因子といった体の細胞の成長や修復に関わるホルモンの分泌や活性化に深く関わっています。
これらの機能が亜鉛不足によって低下すると、細胞の再生能力が落ちてしまいます。その結果として疲労回復が遅れたり、体全体の機能が低下したりといった影響が出る可能性があります。
食欲低下
亜鉛は脳の食欲をコントロールする部分に影響を与えます。
亜鉛が不足したため食欲が低下すると、食事の摂取量が減り、結果としてさらに亜鉛が不足するという悪循環に陥ることもあります。
また、亜鉛不足は消化管の粘膜にも影響を与え、栄養の吸収効率が悪くなる可能性があります。
下痢
亜鉛が不足すると、腸の粘膜が弱くなったり炎症が起きやすくなります。
腸の粘膜が健康でないと、水分や栄養の吸収がうまくいかず、下痢しやすいです。
さらに下痢が続くと、体から亜鉛が失われるスピードも速くなってしまい、ますます亜鉛不足が悪化するという悪循環に陥ることもあります。
骨粗しょう症
亜鉛は、骨の健康を維持するために非常に重要な役割を担っています。
骨は、
- 古い骨を壊す破骨細胞[はこつさいぼう]
- 新しい骨を作る骨芽細胞[こつがさいぼう]
のバランスによって常に作り替えられています。亜鉛はこの骨芽細胞の働きを助け、逆に破骨細胞の過剰な働きを抑えることで健康な骨を維持する事に貢献しています。
亜鉛が不足すると骨を作るのに必要な酵素の働きが悪くなったり、骨の成長を促すホルモンの分泌が減ったりして、骨がもろくなる骨減少症[こつげんしょうしょう]や、さらに進行すると骨粗しょう症のリスクが高まる可能性があります。
※骨減少症とは、骨粗しょう症による骨折はなくとも骨密度は正常よりも減少している状態の事です。
傷が治りにくい
亜鉛が不足すると傷口での炎症が長引いたり、新しい細胞を作る働きが低下します。結果として傷が治るのが遅くなってしまうのです。
美容面だけでなく健康的な体を維持するためにも、傷の治りが早いことは重要です。
免疫力低下
- 最近、よく風邪をひくなあ
- 一度風邪をひくと長引くなあ
と感じる方はいらっしゃいませんか?
これは、体の免疫力(病原体と戦う力)が低下しているサインかもしれません。そして、その原因の一つに亜鉛不足が挙げられます。
亜鉛は免疫細胞が正常に機能するために非常に重要です。亜鉛が不足すると、これらの免疫細胞の数が減ったり働きが弱まります。その結果、ウイルスや細菌に対する抵抗力が低下してしまいます。
特に
- 高齢者
- 慢性的に体調を崩しやすい方
- お子さん
の場合、亜鉛不足のせいで感染症にかかりやすくなり、しかも重症化する可能性が高まります。新型コロナウイルス感染症においても、重症化しやすい方は血中の亜鉛濃度が低い傾向にある、という研究結果も出ています。
亜鉛の多い食材は?
亜鉛が多く含まれるものは以下のとおりです。
- 牡蠣[かき]
- 牛肉
- 豚肉
- 鶏肉
- 卵
- チーズ
- ナッツ類
- 豆類
アレルゲンとなる物は当然お避けください。
食生活を見直しても改善しない場合は病院へ
亜鉛不足を解消したら、歳のせい・忙しさのせいにしていた不調が改善されるかもしれません。
ですが改善が見られない場合は医師や管理栄養士に相談してみることをお勧めします。病院では採血で亜鉛レベルを調べてもらうことも可能です。
おまけ:髙橋の亜鉛体験談〜術後の回復
私は10年位前に左腕のホクロをメスで切除しました。ちょっとした手術です。
ホクロの直径の3倍の縫い跡があったのですが、早く綺麗にしたい一心で毎日亜鉛のサプリメントを飲んでいました。
現在は至近距離でじっくり見ないとわからないくらいの縫い跡になりました。もちろん執刀してくださった形成外科の先生の腕が良かったのが一番の理由です。
日本の医療は素晴らしいですね。