よく聞くようになった「新型うつ病」。これには種類が複数あります。従来のうつ病との違いとの比較もしてご紹介していきます。
各種うつ病に共通して起きやすい症状
- 日内変動=精神状態が1日の中で変動すること
- 早朝覚醒
- 気分の抑うつ
- 倦怠感
- 意欲低下
- 食欲低下
- 何をしても楽しくない
などなど
従来の典型的うつ病
1,なりやすい人の特徴
- 真面目
- 几帳面
- 責任感が強い
- 他者を優先する
- エリートサラリーマンに多い
- 家事を完璧にやらないと気が済まない
- 中高年に多い
- 社会適応の度合いは高い
2,うつ症状の特徴
- 良いことがあっても気分は改善しない
- 以前好きだったことが楽しめない
3,罪悪感と他罰傾向
人に迷惑をかけて申し訳ないと感じており、他者のせいにはせず、自責の念が強い。
4,病院に自ら行くかどうか
自分から行く意志に乏しく、周りから診察を勧められてから行くことが多い。
5,社会復帰
休職を早く終わらせたがったりと、急ぎがち。
新型うつ病
まず最初にお知らせしたいのは「新型うつ病」という言葉は、正式な医学用語ではないということです。
「新型うつ病」は、軽度精神疾患、ある種のパーソナリティ障害、適応障害、一過性の不適応行動、そしてサボリや逃避行動まで含まれています。
「新型うつ病」という言葉の意味は流動的であり、精神医学の進歩によって今後更なる解析が進められていくものと思われます。
逃避型うつ病
1,なりやすい人の特徴
- 成功体験はある程度ある
- 自己愛と自尊心が強い
- プライドは高め
- 依存心が強い
- 失敗することから逃げ自分を守る
- 自信過剰
- 等身大の自分と向き合うことが出来ない
2,うつ症状の特徴
- 職場ではうつ症状を見せないようにする傾向がある。
- 寝込み続ける傾向あり。
3,罪悪感と他罰傾向
罪悪感もなく、他罰傾向はなし。
4,病院に自ら行くかどうか
どちらかというと自分の意思では行かない。
5,社会復帰
復帰に対する恐怖心が強い。
未熟型うつ病
注意ポイントがございます。この未熟型うつ病は「人格が未熟」という意味ではございません!「うつ病と言えるほど到達していない」という意味です。
1,なりやすい人の特徴
- 特に葛藤のない環境で育つ
- わがまま
- 自己顕示欲が強い
- 人付き合いは良い
- 他人の目を気にしすぎる
- 依存心が強い
2,うつ症状の特徴
- 不安感・焦りが強い
- 双極性障害Ⅱ型と診断されることもある※双極性障害Ⅱ型の患者さんが全員未熟型うつ病という訳ではございません
- 休職中は元気になる
3,罪悪感と他罰傾向
他者への攻撃性が強く、他責的なことが多い。罪悪感はなし。
4,病院に自ら行くかどうか
自ら積極的に受診する。
5,社会復帰
復帰に対する恐怖心が強い。
現代型うつ病
1,なりやすい人の特徴
- マイペース
- 仕事で目標を高く持たないようにする
- 強くのめり込んでいる趣味がある
- 社会適応の度合いは高い
2,うつ症状の特徴
- 職場ではうつ症状を見せないようにする傾向がある。
- 抑うつ気分よりも、身体症状の方が目立つ。
3,罪悪感と他罰傾向
罪悪感はあまりなく、他罰傾向はない。
4,病院に自ら行くかどうか
自ら積極的に受診する。
5,社会復帰
復帰に対する恐怖心が強い。
ディスチミア親和型うつ病
1,なりやすい人の特徴
- 仕事熱心ではない
- 役割抜きで自己への愛着がある
- ルールや秩序に抵抗感がありストレスと感じる
- 漠然とした万能感を持つ
2,うつ症状の特徴
- 倦怠感・疲労感が強い
- 抗うつ剤は効きにくい
- 衝動行為
- 「私の生き方」と「うつの私」が分けづらい
- 休養と服薬のみでは慢性化しやすく、環境の変化で改善することがある
3,罪悪感と他罰傾向
罪悪感はなく、他者への非難がある。
4,病院に自ら行くかどうか
自ら積極的に受診する。
5,社会復帰
慢性化するため社会復帰に時間がかかる。
非定型うつ病
1,なりやすい人の特徴
- 他者から拒絶されることに過敏
- 対人不安が強い
- 若年層※他の新型うつ病は青年層に多い
- 不安障害がある(特に社会不安障害)
2,うつ症状の特徴
- 良いことがあると気分が持ち上がる
- 過眠、過食の傾向が強い
3,罪悪感と他罰傾向
罪悪感はあまりなく、他罰傾向は無し。
4,病院に自ら行くかどうか
自ら受診する場合もあるが、保護者が連れていくこともあり個人差が大きい。
5,社会復帰
元来社会との関わりが苦手。
いろはに通われるうつ病患者さんたちの特徴
従来の典型的うつ病が最多数です。原因は仕事量が過剰、介護、産後、様々な種類のワンオペ、喪失体験、そして職場の人間関係が挙げられます。私はお話を伺いながら「休まなさすぎでは!?」と心の中で呟いております。
職場が原因でうつ病になるパターンとしては以下のケースが挙げられます。
- 経営者・管理職にメンタルヘルスの知識がない
- 経営者・管理職にパーソナリティ障害の傾向が見られ、そのせいで職員達に過剰なストレスがかかっている(問題のない幹部も困って頭を抱えている)
- 結果を出しているのに給与もポジションも上がらない
- 採用人数を減らしすぎて一人当たりの業務量が多すぎ、過労でうつ病になる(公務員に多い)
- 問題がある職員のリカバリーをしている職員がうつ病になる
- 仕事ができるすぎるせいで業務を任されすぎ、過労でうつ病になる(もしかして就職氷河期世代が多め?)
聞いていて本当に気の毒としか言えない環境でお仕事されている方が多いです。物言わぬ頑張り屋さんが損をするのは何とかならないのでしょうか。
うつ病は誰でもなる
典型的うつ病は他者に気を遣っている方がなり、新型うつ病はわがままな方がなりやすい(私の感想ではなく専門医学書にそう書いています)。ということは広い意味でのうつ病は、誰でもなる可能性がありますね。
頑張って燃え尽きた典型的うつ病の方に「わがままだ」等というのは絶対絶対やめてください。わがままを全く言えないからうつ病になったのです。
髙橋の憶測・妄想・感想文
ベーシックインカムという言葉が知られるようになってきました。
毎月7万円の一律支給は現実的? 「ベーシックインカム」入門(野村證券)
「働くのは嫌いじゃないけど、お金のために合わない仕事をしています。」という方がもし毎月ベーシックインカムを受け取れるようになったら
「給料下がっていいからやりたい仕事に就こう!だって足りない分はベーシックインカムで補えるし!!!」
「正社員じゃなくてもいいや!週3バイトで暮らそう!!!」
「節約スキルを高めたら、もう働かない!!!」
となるのではないでしょうか。そうなると、うつ病の患者さんは劇的に減ると思います。
一方で、私は毎日楽しく働かせてもらっているので引き続き鍼灸師を続けます。もし毎月7万円もらえるなら値段を気にせず本を買います。しかし積ん読の予感が…