今回は更年期障害について、現代医学の視点からご紹介いたします。東洋医学(中医学)視点での更年期障害についての記事は、後日投稿いたします。
更年期障害の症状は沢山あります
代表的な症状
- ホットフラッシュ※とても多いです=急に顔が熱くなったり汗が止まらなくなったりします。
- 肩こり
- 頭痛
- イライラ
- 情緒不安定
その他身体症状
- めまい
- 動悸
- 息切れ
- 胸が締め付けられるような感じ
- 腰痛
- 腰や背中の痛み
- 関節の痛み
- 冷え
- しびれ
- 疲れやすい
など
その他精神症状
- 気分の落ち込み
- 不安
- 意欲の低下
- 不眠
など
更年期障害はエストロゲンの急な減少で起きます
女性が40歳を過ぎると…
↓
卵巣機能が低下する
↓
卵巣から分泌される女性ホルモンの一つ、エストロゲンが急に減少する
↓
ホルモンの調整をつかさどる視床下部(脳の一部)が混乱する
↓
体内のホルモンバランスが乱れる
↓
心身のあちこちに更年期障害の症状が現われる
病院での治療法は主に3つ
ホルモン補充療法(HRT)〜ホットフラッシュがある方に特にお勧め
HRTは、ほてり・のぼせ・ホットフラッシュ・発汗など血管の拡張と放熱に関係する症状に特に有効ですが、その他の症状にも有効であることがわかっています。HRTには
- 飲み薬
- 貼り薬
- 塗り薬
などいくつかのタイプがあり、またその投与法もさまざまです。よく担当医師と話し合いながら、その人に合った最適な治療法を選択していきます。
かつては乳がんなどのまれな副作用が強調される傾向にありました。しかし最近になってからは
「HRTを開始した人では心臓・血管の病気や骨粗鬆症など高齢になってから起こるご病気が予防できる」
という利点が再び見直され始めています。しかし個別に事情が異なるので担当医師と相談して決定しましょう。
漢方薬
更年期障害向けの代表的な漢方薬は次の3つです。あくまで「代表的な」 です。
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)=冷え症で貧血傾向がある方向け
- 加味逍遥散(かみしょうようさん)=疲労しやすく、不安・不眠などの精神症状がある方向け
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)=のぼせ傾向にあり、下腹部に抵抗・圧痛がある方向け
太平洋戦争よりも前から漢方薬に力を入れている千葉大学医学部のおかげで、千葉は漢方薬に強いクリニックが多いです。せっかく千葉に住んでいるからには、その恩恵を受けられてみてはいかがでしょうか?
向精神薬
精神症状がお辛い場合は、抗うつ薬・抗不安薬・催眠鎮静薬などの向精神薬も用いられます。
抗うつ薬は即効性のある薬ではありません。効果があらわれるまで2週間~1ヶ月ほどかかることもあります。ご自身の判断で服薬を中止したり、量を減らしたりせずに病院の担当医師にご相談されますようお願いいたします。
SSRI・SNRI
新しい抗うつ薬である以下の2つ、
- 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
- セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
は副作用が少ないです。
しかし飲みはじめには、吐き気・嘔吐・下痢など消化器系の副作用がみられる場合があります。通常これらの症状は2週間程度で改善しますが、副作用が気になる場合には担当医師に相談しましょう。
婦人科で診察を受けてからが鍼灸の出番です
PMS/生理痛/更年期障害ケアのページにも書かせていただいたのですが、鍼灸より先に病院で診断を受けられるようお願いいたします。
なぜなら「更年期障害のような症状で、診察を受けたら別ものと判明!」ということがあるからです。例えば甲状腺疾患(バセドウ病・橋本病など)、うつ病、その他諸々が挙げられます。
いろはならこうする…は後日投稿
婦人科のお薬と並行して、当院のレディース鍼灸のメニューを受けられるのがお勧めです。どんな施術をご提供するか、今後ブログでご紹介いたします。お楽しみにお待ちくださいませ。
おすすめYoutube動画3つ
医療職向けの学会である日本女性医学学会が、一般の方向けに更年期障害についての動画を作成しています。
当事者の方はもちろん、男性含めたご家族・お友達・パートナー、そして職場環境の改善を担う経営者の皆様におすすめの動画です。